FIREを目指す上でよく耳にする「4%ルール」について解説していきます。
4%ルールって何?
4%ルールは、資産を取り崩しながらも資産を枯渇させないための指標です。
ざっくり言うと、以下のようなルールです。
初年度に総資産の4%を引き出し、その後はインフレ率に応じて引き出す金額を増やしたとしても、資産が尽きることなく生活費を賄える。
このルールは、1990年代にアメリカのトリニティ大学の研究で提唱されました。
「4%」という数字は、過去の株式市場や債券市場のデータをもとにして計算されています。
具体的なイメージ
例えば、年間の生活費が300万円だとします。
4%ルールを適用すると、必要な資産は以下のように計算できます(4%は25倍にすることと同じ):
300万円 × 25 = 7500万円(年間支出額 × 25 = 必要資産)
つまり、7500万円の資産があれば、毎年300万円を取り崩しても資産が枯渇しない、という理屈です。7500万円貯めることができればFIRE達成となります。
4%ルールの前提条件
4%ルールはFIREを目指すうえで便利な指標ですが、いくつか前提条件があります:
- 資産の運用が必要
資産をただ銀行に預けておくだけでは、このルールは成り立たない。資産を株式と債券に50%ずつ分散投資している - 長期の運用を想定
このルールは30年の運用期間を想定している - インフレを考慮
物価の上昇(インフレ)は3%で計算されている - 絶対的な指標ではない
あくまで95%程の確立で枯渇しないのであって絶対ではない
4%ルールの注意点
市場環境による影響
株式市場が低迷する時期やリセッションが続くと、4%ルールが破綻するリスクがあります。特にFIRE直後に不景気に陥った場合、目減りしていく資産から4%の生活費を引き出さなくてはならず、枯渇するリスクが高まります。
日本市場ではどうなの?
4%ルールはアメリカ市場のデータを元に作られたため、日本市場では適用が難しい場合があります。特に、日本は低金利で経済成長が緩やかなため、3%ルールを目安にする人もいます。
枯渇しないためにはどうしたら良いのか
4%ルールを目安にFIREを目指す場合の懸念
- 95%大丈夫といってもFIRE直後に不景気になったら?
- FIREするから30年よりも長い期間の場合は?
これらの懸念を払拭するためにいくつかの対策を考えておきましょう。FIRE直後数年の間に暴落が起きてもこれらを取り組むことで資産の枯渇を防ぐ確率が高まります。
- STEP1現金を保有する
現金から生活費を賄い、投資資産からの取り崩しを減らす
- STEP2配当金の高い資産を保有する
高配当株やETFで得た配当金を生活費に充てる
- STEP3短期間仕事をする
パートやアルバイトをはじめる
- STEP4毎年シミュレーションする
FIRE直後より枯渇リスクは増えたのか減ったのか常にチェックすることで、舵を取る。これによって資産寿命を30年以上伸ばすことが可能
生活費のピークは40代頃で老後になるほど生活費は減っていく傾向にあります。しかし4%ルールでは何年たっても生活費が固定になっています。変動した生活費を含めて定期的にシミュレーションをし直すことで、効率よく舵を取りましょう。
FIRE後の収入が無くなった直後に暴落があると、株価が下がったところで安売りしなければならず、枯渇につながってしまうのです。つまり、下がったときにはなるべく資産を売らずに生活しましょう。そうすることで資産の回復も早くなり、精神的にもかなり楽になるはずです。

減っている資産からさらに売却することほど怖いものはないね…!
サイドFIREと4%ルールの相性
サイドFIREを目指す人にとって、4%ルールは資産形成の目標を設定する上で非常に便利です。例えば、サイドFIREでは働きながら収入の一部を補填するため、完全FIREよりも必要な資産額が少なくて済みます。
例:副収入が月10万円ある場合
年間120万円の副収入があるなら、取り崩しが必要な金額は次のように計算できます:
300万円(生活費)− 120万円(副収入) = 180万円
必要な資産は:
180万円 ÷ 0.04 = 4500万円
同じ生活費でもFIREは必要資産は7500万円必要なのに対して、サイドFIREは4500万円です。このように、副収入があるだけで目標金額が大幅に下がります。
目標金額が下がるということは、FIRE達成までの期間も大幅に短くなるということです。
まとめ
4%ルールは、FIREやサイドFIREを目指す上での基本の計算式です。ただし、絶対的な指標ではないため、リスクやライフスタイルの変化を考慮しながら活用することが大切です。
資産の枯渇する懸念を減らすためにも対策を用意しておきましょう。初めの数年を乗り切れば自身もついてくるはずです。
それでも不安な場合は、あらかじめ3%ルールにして必要資産を多く見積もっておき、更に枯渇リスクを減らしてみてはどうでしょうか。